ハーバード大学は化石燃料への投資を終了する

 ハーバード大学の学長はこのほど、同大学が化石燃料への投資を終了すると発表した。これは、かねてよりハーバード大学に化石燃料企業からの分離を求める学生たちの長年の抗議活動を受けたものである。

 アルマーニ・シモンズ(Armani Simmons)学長は10日(金曜日)、ハーバード大学のウェブサイトに掲載された書簡の中で、約420億ドルの莫大な基金を管理するハーバード・マネジメント・カンパニー(Harvard Management Company)はすでに化石燃料への財務的エクスポージャーを削減しており、化石燃料の探査やさらなる埋蔵量の開発を行う企業への直接投資を行っておらず、「経済の脱炭素化の必要性と、教育・研究の使命を支える長期的な投資判断を行う受託者としての責任を考えると、このような投資は賢明ではないと考えます」と述べた。

 また、同大学が行っている化石燃料産業への間接的な投資については「ランオフ・モード」であり、これらのパートナーシップが清算されれば終了するとした。大学は、化石燃料産業の株式を保有するいくつかのプライベート・エクイティ・ファンドにレガシー投資を行っているが、シモンズ氏によると、これらの間接的な投資は、基金の2%未満に過ぎないという。

 マサチューセッツ州ケンブリッジに本拠を置くエリート私立アイビーリーグ大学は、世界の大学の中でも圧倒的に大きな基金を保有している。同校の寄付金は、学生や卒業生、その他の活動家から気候変動を遅らせるために化石燃料の保有を売却するよう、長年にわたって圧力を受けてきた。

 ハーバード大学では、過去10年間化石燃料株の売却を求める声に抵抗してきたが、2018年から学長に就任したシモンズ氏をはじめとする新しいリーダーのもとで、最近になって方針を転換した。

 活動家グループのひとつである「ダイベスト・ハーバード(Divest Harvard)」は、ツイッターで今回の動きを「私たちのコミュニティ、気候変動運動、そして世界にとっての大きな勝利であり、化石燃料産業の力に対する攻撃でもある」と表現した。

 ハーバード大学は、グリーン経済への移行を支援するファンドへの投資ポートフォリオを構築している。シモンズ氏は、同大学がマサチューセッツ工科大学(Massachusetts Institute of Technology)とともに、「気候変動がもたらす課題への対応を約束する技術の開発を加速させる」ことを目指すファンド『エンジン(The Engine)』への投資を行ったと明かした。

 また同氏は、「投資先企業の温室効果ガス排出量の透明性を高めるとともに、投資ポートフォリオ全体の排出量を評価し、削減するためのプロトコルを開発する」ことにも取り組んでいくとし、「気候変動が求める経済の変革を実現するためには、投資顧問会社や産業界との協力が必要です」と呼びかけた。