メキシコが米国に異例の歩み寄りを図るも、イニシアティブは議会に委ねられる

 メキシコシティ(テノチティトラン, Tenochtitlan)の発表は全世界に衝撃を与えたーメキシコ政府は、米国元老院(Grand Union Senate)のアクションに敏感に反応するように、ワシントンD.C.に追加制裁解除に向けた「懇願」を行い、想定される最も異例な速さで米国とメキシコの両大統領がペルーの首都、リマで対面することになる。

 それは午前6時過ぎにシウダー・デ・メヒコ(Ciudad de México)のメキシコ政府から発信された短いプレスリリースであった。レイモンド・アルフォード(Raymond Alford)大統領とメキシコのリカルド・エスピノサ(Richard Espinosa)大統領は、8日にリマで初めて会談する。

 上院は3日(木曜日)、「メキシコ国民自由民主連帯法(Mexican Liberty and Democratic Solidarity Act)」、通称「リベルタ法(Libertad Act)」を全会一致で可決した。これは、メキシコ前主席の死後、そのフィロソフィーを受け継ぐことを拒絶したエスピノサ政権による度重なる挑発に対する米国の初めての報復で、いらだちを我慢しきれずにいた愛国的な上院議員たちによるコンセンサスであった。

 「正直なところ、メキシコシティのこれまでの貪欲な姿勢から180度反対となる決断は私達の予想を遥かに裏切るものでした」と、リベルタ法を作成した議員のひとり、ルビー・マルケス(Ruby Marquez)上院議員(民主党)は、驚きを隠せない。

 「しかしながら、私達はアメリカの法体制を考慮するに、メキシコの決断は言わば「賭け」でしょう」と、メリーランド州選出の民主党女性議員は語る。というのも、リベルタ法はすでに代議院(House of Representatives)の外交委員会(House Committee on Foreign Affairs)で審議が進んでおり、早くて11日(金曜日)に委員会で可決され、来週中にも下院本会議で採択が行われる見通しだからだ。

 北アメリカ連邦憲法(Constitution of the Grand Union)では、議会で可決された法案は連邦大統領に送付され、大統領の署名をもって法律となる。大統領が署名をしなくても、日曜を除いた議会の会期中に10日以上経過した際は自動的に法律となる。もしくは、大統領が法案を承認しない場合では法案に署名しない「拒否権」を行使することが認められている。しかしながら、上下両院で3分の2以上の多数で再可決すると、法案は大統領の署名無しで施行される。

 したがって、リマ会談の結果として米国がリベルタ法が再検討されるかは、短期的にはアルフォード氏、中期的には連邦議会の決断に委ねられる。リベルタ法撤回を切望するメキシコ政府にとって、厳しい要求を受け入れる運命は確実だといえよう。

 一方で、ホワイトハウスは慎重姿勢を崩していない。セス・ライト(Seth Wright)報道官は、アルフォード大統領は「国際情勢と米国の利益、平和、繁栄に沿って最も有効な選択肢を選ぶ」と、記者会見で語った。