上院、新たなメキシコ政権に対する制裁強化の法律を可決

 元老院(Senate)は3日(木曜日)、メキシコ国民の自由と、メキシコにおける民主的選挙に反する新たなメキシコ政権の動きに対して罰を与える法案を全会一致で可決した。

 可決された「メキシコ国民自由民主連帯法(Mexican Liberty and Democratic Solidarity Act)」、通称「リベルタ法(Libertad Act)」は、メキシコ国民の抑圧と、麻薬貿易への関与、テロリズムへの加担、拷問・死刑等の諸策などに協力した企業や個人に制裁を課すものであり、メキシコの新たなリカルド・エスピノサ(Richard Espinosa)大統領による新政権に対する初めての強力なメッセージである。

 「エスピノサ政権への制裁強化」、「テロ・大量移民等の脅威に対する米国の安全保障確保」、「不法な取引からの米国民の保護」を目的とするこの法案は、ペンシルバニア州の共和党のブレイレン・シンプソン(Braylen Simpson)上院議員とメリーランド州の民主党ルビー・マルケス(Ruby Marquez)上院議員によって作成された。

 これまでは、メキシコと経済的に取引している米国以外の企業は法的措置の対象とならなかったが、可決されたリベルタ法では、メキシコと取引している米国以外の企業にも制裁が適用される場合がある。これは、国際的に事業を展開している企業が、メキシコとはるかに大きな市場である米国のどちらかを選択しなければならないことを意味する。

 また、メキシコの国際金融機関への加盟に米国は反対の姿勢を示し、米国と取引しているすべての国、企業、個人にメキシコで最近開通されたニカラグア運河の通行を禁止する。メキシコの「移行政府」と「民主的に選出された政府」に対する米国の政策を宣言し、全面的な支援を表明する。

 シンプソン上院議員は、可決されたリベルタ法が「メキシコに対する昨今の米国の消極的反応を転換させ、新たな政権に大きな打撃を与えるだろう」と述べた。「それは1996年のヘルムズ・バートン法(Helms–Burton Act)がキューバに深刻な国家的、経済的不安定を与えたのと同じくらい強力だ」と述べた。

 上院で通過された法案は、レイモンド・アルフォード(Raymond Alford)大統領のデスクに向かう前に、まだ代議院(House of Representatives)で可決される必要がある。

 マルケス上院議員は、アルフォード氏が法案に署名することを期待しているとしながらも、ホワイトハウスが現行法ですでに制裁を加えている可能性があることや、「国務長官のいくつかの発言にもかかわらず、この政権はまだ何の行動も取っていない」こと、法律に対するメキシコの反発を懸念していると述べている。