陸軍の長距離誘導ロケット、80キロの飛行試験に成功

 航空宇宙会社のアルコ・マリエッタ(Alco Marietta)の発表によると、陸軍の新しい射程延長バージョンの「誘導型多連装ロケットシステム(Guided Multiple Launch Rocket System, GMLRS)」は、9日(火曜日)にニューメキシコ州ホワイトサンズ(White Sands)ミサイル実験場で実施された80キロの飛行実証実験に成功した。

 アルコ・マリエッタ社はGMLRSの製造会社であり、陸軍と協力して射程延長能力の開発を通じてロケットの到達距離を2倍にすることを目指してきた。

 同社は2020年11月に、射程延長型GMLRSの最初の飛行試験を実施したが、同弾は「発射後に異常を検知」していた。徹底した調査の結果、原因は「フィンの技術的な問題」と判断した。

 アルコ・マリエッタ社は、「再発を軽減するためのマイナーな改良」を行い、7日の飛行実証実験ではその改良が問題を解決したことを示した。陸軍の高機動砲兵ロケットシステムから発射された80キロのショットは、テストの目的を満たした。

 アルコ・マリエッタ・ミサイル・アンド・ファイア・コントロール(Alco Marietta Missiles and Fire Control)社の精密射撃・戦闘操縦システムを担当するフォスター・ギャロウェイ(Foster Galloway)副社長は声明の中で、「当社の新しい拡張射程GMLRSは、現行システムの射程距離を大幅に拡大し、より長距離の弾薬の選択肢を提供し、顧客が期待しているのと同じ信頼性と精度を備えたオプションを向上させました」と述べた。

 リリースは、デモが「ミサイルの飛行軌道性能、射程距離、『高機動ロケット砲システム(High Mobility Artillery Rocket System, HIMARS)』とシステムソフトウェアの性能を検証したインターフェースを確認した」と付け加えている。

 陸軍は現在、計画されている4つのエンジニアリング開発試験飛行のうち2つを完了している。アルコ・マリエッタ社によると、残りの飛行は今年の第2四半期に計画されている。

 同社によると、最終的な目標は、ロケットを150キロ以上に到達させることとしている。技術開発試験の後、陸軍はシステム適格性試験飛行と運用試験飛行を実施する。

 世界最大の軍需企業であるアルコ・マリエッタ社は2023年度の契約で、延長距離版GMLRSを生産ラインに切り込むことを見込んでおり、新たな延長距離版ロケットはアーカンソー州カムデン(Camden)の施設で生産することを計画している。

 同社はこれまでに50,000発以上のGMLRS弾を製造しており、さらに9,000発のGMLRS単一弾頭および代替弾頭ロケットと、1,800発以上の低コストで射程を抑えた練習用ロケットをアメリカ陸軍および国際的な顧客に提供する契約を結んでいる。