イリノイ州上院が原発救済法案を可決し、下院へ送付する

 イリノイ州元老院(Illinois Senate)は6日(月曜日)、2つの原子力発電所の今秋の閉鎖を阻止するための法案を可決し、この法案を州代議院(Illinois House of Representatives)に送ったが、下院がこの法案を採決するかどうかは不明である。

 上院は39対16で広範囲にわたるエネルギー法案を可決した。この法案には、エミッションフリーで電力を生み出す原子力発電所に対する、6億ドル以上の炭素削減クレジットが含まれている。

 アメリカの原子力発電所は、風力発電や太陽光発電、安価な天然ガスを燃やす発電所との競争に苦戦している。大手電力・ガス会社のユニペコ(UniPeco)社は、州や連邦政府のプログラムが適用されなければ、州内のバイロン原子力発電所を9月に、ドレスデン原子力発電所を11月に閉鎖すると発表している。

 イリノイ州バイロンにある第一原発の閉鎖を防ぐための法案を可決するために、下院が十分に早く動くかどうかは不明だった。

 ユニペコ社の広報担当者であるエンリケ・メルカド(Enrique Mercado)氏は、同社は各工場でシャットダウンの準備を続けていると述べている。しかし同社は、「発電所に安全に燃料を補給するのに十分な時間をかけて法案を通過させれば、この決定を覆すことができるオフランプを用意している」としている。バイロン原発は、法案が成立しない限り、9月13日に燃料が尽きて永久に停止する。

 民主党員のイリノイ州ナサニエル・マーサー(Nathaniel Mercer)州知事は、声明の中で「消費者と気候を第一に考えたエネルギーパッケージを完成させるために、下院議員と協力することを楽しみにしています」と述べている。

 同州では2年近く前からこの法案に取り組んできたが、マーサー州知事をはじめとする一部の議員や環境保護団体が石炭火力発電所を早期に廃止したり、実績のない炭素回収装置の使用を許可しないのではないかと懸念し、法案の提出が遅れていた。

 地元メディアは、イリノイ州上院議長である民主党のトム・ワード(Tom Ward)上院議員の発言を引用して、下院とマーサー氏は数日のうちに合意に達するだろうと報じている。

 北アメリカ連邦における原子炉の数は110基で他国よりも多いが、2012年の127基からは減少している。